少し話題にするのが遅いですが、最近、NHKの連続テレビ小説シリーズ「エール」で、女優兼歌手の柴咲コウがオペラ歌手役として登場。
ドラマの中で、ジャコモ・プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」のアリア「私のお父さん(原題:O mio babbino caro)」を歌って話題になっていた。
柴咲コウは美人だし、歌手として活動している事もあって歌は上手いし声も綺麗なので役にはぴったりではないだろうか。
彼女がオペラを歌った事で、これを機にオペラやクラシックをあまり聴かない若者にも興味を持ってもらい、クラシックの魅力が伝わると良いですね!
…と思ったのだが、一点だけ納得のいかない事がある。
ドラマの役なので十分な歌声だとは思うし、役者本人には何の問題もない。
ただ、それを必要以上に持て囃すメディアに一言申したい。
柴咲コウは、オペラのレパートリーをドラマの中で歌ったが、その歌声はどう贔屓に聴いても「ポップスシンガー」のソレである。
勘違いしないで欲しいが、柴咲コウをバカにしているのではない。
あくまでも、記事を書いた記者に問いたいのだ。
私が言いたいのは、記事の中で「まるでプロのオペラ歌手の様に~」と言う記述をチラホラと見掛けたので、そこについては真剣に反論したいし、日本のクラシック業界や現役のオペラ歌手は記者に対して猛抗議した方が良いと思ったからだ。
アマチュアでももっと技術レベルは高いはずなのだから、オペラ歌手として誇りを持つべきである。
ブログやSNSなどのコメントを見ていても、恐らくはオペラを聴かないから良くわからないと言う層や、単純に柴咲コウのファンが持ち上げているのだと思うが、このままではオペラはあんなモン、中にはこれくらいなら私でも歌える、などと誤解を招きかねない。
現実として、あのレベルでオペラの舞台に立とうものなら、チケット返金レベルの大事故である。
ポップスの歌唱だと言う事は強く主張しておいた方が良いと思うのだ。
あくまでも、ドラマの役だから許容範囲なのである。
そもそも、歌唱技術のみならず、オペラのアリアと言うのは物語の中での台詞も兼ねているので、当然その場面に適した表現なども必要になってくるので、ただメロディに合わせて歌えれば良いと言うものでもない。
このアリアの歌詞は、恋する乙女が、思いを寄せる相手へ渡す指輪を買いに連れて行って欲しいと父に懇願する台詞となっており、その恋が成就しなければアルノ川に身投げすると歌っている。
彼女は女優でもあるので表現力も有しているはずだが、ドラマのワンシーンで上記の様な思い詰めた乙女の様子が画面越しに伝わっただろうか?
私には、その表情や声色からも、ただ澄まして独りよがりに歌っている様にしか見えなかった。
これではただのカラオケ大会である。
何度も言うが、別に柴咲コウをバカにしているわけではない。
ポップスシンガーとオペラ歌手では差があって当然。仕方がないのだから。
ただし、影響力のあるニュース記事によって誤解が生じてはならない。
クラシック、オペラ業界にとって、これは死活問題だからだ。
当然、強く反論しなくてはならない。
そこでだ、今日は正真正銘のオペラのディーヴァがどれ程の歌唱力・表現力を持っているのか、篤とご覧頂きたい。
以前、既に紹介した歌手だが、現在、世界で最も人気のあるソプラノ歌手であり、2016年にオーストリア宮廷歌手の称号も授与されている、正真正銘の歌姫だ。
現代オペラのトップに君臨するディーヴァ、アンナ・ネトレプコのアルバムがこちら。
2008年にリリースされた「Opera」であるが、今回このアルバムを引っ張り出してきたのにはわけがある。
ぶつけようと言うのである(笑)
いや、勝負以前の問題だと言う事はわかっている。
プロ野球チームを小学生の野球部と本気で戦わせようとしている様なものだからだ。
しかしだ、今回の一件について、オペラを良く知らないと言う層に対して誤解を与えてはならない。
ポップスシンガーとオペラ歌手の差はハッキリさせておく必要があると思っている。
リードトラックに収録されているのが、プッチーニのO mio babbino caroだ。
そう、ドラマで聴いただろう「私のお父さん」である。
説明不要。
聴けば第一声から理解できるはずだ。
特に、ドラマのワンシーンを見て「プロのオペラ歌手の様に~」なんて記事を書いた記者は良く聴いておけ!
これを聴いた上で、もう一度同じ記事が書けるのであれば大したものである。
ANNA NETREBKO: O MIO BABBINO CARO
YouTubeのチャンネルより
アーティスト:Anna Netrebko
タイトル:Opera
収録曲リスト
1.O mio babbino caro
2.Libiamo ne'lieti calici (Brindisi)
3.Song to the Moon(Mesicku na nebi hlubokém)
4.Suis-je gentille ainsi? / Obéissons, quand leur voix appelle
5.Quando me'n vò (Musette's Waltz)
6.Ah, non credea mirarti
7.Ah! non giunge uman pensiero
8.Parigi, o cara, noi lasceremo
9.Jewel Song(Chanson du roi de Thule - Air des Bijoux)
10.E strano! - Ah, fors'è lui
11.Sempre libera
12.Crudele! - Non mi dir, bell'idol mio(Donna Anna)
13.Un dì felice, eterea
14.Elvino! E me tu lasci senza un tenero addio?
15.Ave Maria
16.Eccomi...Oh! quante volte
ドラマの中で、ジャコモ・プッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」のアリア「私のお父さん(原題:O mio babbino caro)」を歌って話題になっていた。
柴咲コウは美人だし、歌手として活動している事もあって歌は上手いし声も綺麗なので役にはぴったりではないだろうか。
彼女がオペラを歌った事で、これを機にオペラやクラシックをあまり聴かない若者にも興味を持ってもらい、クラシックの魅力が伝わると良いですね!
…と思ったのだが、一点だけ納得のいかない事がある。
ドラマの役なので十分な歌声だとは思うし、役者本人には何の問題もない。
ただ、それを必要以上に持て囃すメディアに一言申したい。
柴咲コウは、オペラのレパートリーをドラマの中で歌ったが、その歌声はどう贔屓に聴いても「ポップスシンガー」のソレである。
勘違いしないで欲しいが、柴咲コウをバカにしているのではない。
あくまでも、記事を書いた記者に問いたいのだ。
私が言いたいのは、記事の中で「まるでプロのオペラ歌手の様に~」と言う記述をチラホラと見掛けたので、そこについては真剣に反論したいし、日本のクラシック業界や現役のオペラ歌手は記者に対して猛抗議した方が良いと思ったからだ。
アマチュアでももっと技術レベルは高いはずなのだから、オペラ歌手として誇りを持つべきである。
ブログやSNSなどのコメントを見ていても、恐らくはオペラを聴かないから良くわからないと言う層や、単純に柴咲コウのファンが持ち上げているのだと思うが、このままではオペラはあんなモン、中にはこれくらいなら私でも歌える、などと誤解を招きかねない。
現実として、あのレベルでオペラの舞台に立とうものなら、チケット返金レベルの大事故である。
ポップスの歌唱だと言う事は強く主張しておいた方が良いと思うのだ。
あくまでも、ドラマの役だから許容範囲なのである。
そもそも、歌唱技術のみならず、オペラのアリアと言うのは物語の中での台詞も兼ねているので、当然その場面に適した表現なども必要になってくるので、ただメロディに合わせて歌えれば良いと言うものでもない。
このアリアの歌詞は、恋する乙女が、思いを寄せる相手へ渡す指輪を買いに連れて行って欲しいと父に懇願する台詞となっており、その恋が成就しなければアルノ川に身投げすると歌っている。
彼女は女優でもあるので表現力も有しているはずだが、ドラマのワンシーンで上記の様な思い詰めた乙女の様子が画面越しに伝わっただろうか?
私には、その表情や声色からも、ただ澄まして独りよがりに歌っている様にしか見えなかった。
これではただのカラオケ大会である。
何度も言うが、別に柴咲コウをバカにしているわけではない。
ポップスシンガーとオペラ歌手では差があって当然。仕方がないのだから。
ただし、影響力のあるニュース記事によって誤解が生じてはならない。
クラシック、オペラ業界にとって、これは死活問題だからだ。
当然、強く反論しなくてはならない。
そこでだ、今日は正真正銘のオペラのディーヴァがどれ程の歌唱力・表現力を持っているのか、篤とご覧頂きたい。
以前、既に紹介した歌手だが、現在、世界で最も人気のあるソプラノ歌手であり、2016年にオーストリア宮廷歌手の称号も授与されている、正真正銘の歌姫だ。
現代オペラのトップに君臨するディーヴァ、アンナ・ネトレプコのアルバムがこちら。
2008年にリリースされた「Opera」であるが、今回このアルバムを引っ張り出してきたのにはわけがある。
ぶつけようと言うのである(笑)
いや、勝負以前の問題だと言う事はわかっている。
プロ野球チームを小学生の野球部と本気で戦わせようとしている様なものだからだ。
しかしだ、今回の一件について、オペラを良く知らないと言う層に対して誤解を与えてはならない。
ポップスシンガーとオペラ歌手の差はハッキリさせておく必要があると思っている。
リードトラックに収録されているのが、プッチーニのO mio babbino caroだ。
そう、ドラマで聴いただろう「私のお父さん」である。
説明不要。
聴けば第一声から理解できるはずだ。
特に、ドラマのワンシーンを見て「プロのオペラ歌手の様に~」なんて記事を書いた記者は良く聴いておけ!
これを聴いた上で、もう一度同じ記事が書けるのであれば大したものである。
ANNA NETREBKO: O MIO BABBINO CARO
YouTubeのチャンネルより
アーティスト:Anna Netrebko
タイトル:Opera
収録曲リスト
1.O mio babbino caro
2.Libiamo ne'lieti calici (Brindisi)
3.Song to the Moon(Mesicku na nebi hlubokém)
4.Suis-je gentille ainsi? / Obéissons, quand leur voix appelle
5.Quando me'n vò (Musette's Waltz)
6.Ah, non credea mirarti
7.Ah! non giunge uman pensiero
8.Parigi, o cara, noi lasceremo
9.Jewel Song(Chanson du roi de Thule - Air des Bijoux)
10.E strano! - Ah, fors'è lui
11.Sempre libera
12.Crudele! - Non mi dir, bell'idol mio(Donna Anna)
13.Un dì felice, eterea
14.Elvino! E me tu lasci senza un tenero addio?
15.Ave Maria
16.Eccomi...Oh! quante volte
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