今日は、1939年に公開されたミュージカル映画「オズの魔法使」を紹介。
1939年である。なんと、80年以上も前に公開された映画でありながら、未だに人気があり、そして何より挿入歌のSomewhere over the rainbow(虹の彼方に)、主演のドロシー役を演じたジュディ・ガーランドの知名度は凄い。
ちなみに、"映画史上最も有名なトト"の片方がドロシーの愛犬トトではないだろうか。
もう片方は、ニュー・シネマ・パラダイスの主人公サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(幼少期の愛称:トト)…だと思う(笑)
どうでも良い情報ですね。
Over the rainbowを歌うジュディ・ガーランド |
ジュディ・ガーランドはハリウッドを代表する伝説的な女優ではあるが、色々と逸話や曰く付きの人物でもある。
偏見や差別の多かった当時に、同性愛者に対して理解を示していた数少ない著名人としても良く知られており、LGBTの象徴的存在(シンボルのレインボーフラッグはOver the rainbow由来)となっているが、オズの魔法使以降もいくつかの映画で大役を務めてヒットしているものの、薬物依存症や精神疾患で女優活動に支障があった他、何度も自殺未遂などを起こしていたりと、逮捕歴はないもののFBIにも監視されていたと言われる程、かなり荒れた生活を送っていたそうで、人気がありながらジュディの採用を嫌がる監督も多かったとか。
若くして睡眠薬の過剰摂取によって中毒死しているが、上記の背景からも自殺と言う説もあるそうな。
映画のイメージからはとても想像ができないですよね。。。
まあ、そんな暗い背景は置いといて、名作オズの魔法使を改めて見てみましょう。
私は音楽もクラシックからヘヴィメタルまでオールジャンル聴きますが、映画もコメディからホラー、SFや西部劇、ラブストーリーと何でも見ます。
でもね、やっぱりミュージカルが大好き。
どのジャンルに於いても、少なくとも「名作」と呼ばれている作品にハズレはない。
オズの魔法使は子供っぽい?
みんな一度は見た事があるだろう名作ですが、サウンド・オブ・ミュージックやオズの魔法使は大人になると"なんとなく嫌がる"人が多い印象を受けるのですが、むしろ大人になって見直す方が"めちゃくちゃ面白い!"って事に気付くはず。
映画の中で歌われる曲は圧倒的にSomewhere over the rainbowの知名度が高く、他の曲は知らないと言う人も多いですし、実際のところ歌自体は特に上手いと言う程の事はなく、後にオペラやクロスオーバーの歌手がカバーしているものの方がクオリティは高いでしょう。
名作と言われているウエスト・サイド・ストーリーや、最近だとラ・ラ・ランドやレ・ミゼラブルなどを見て「歌が下手」「聞き難い」だとか酷評を並べる人がいますが、オペラ座の怪人など一部のミュージカルを除いては歌唱そのものに重点は置いていないので、表現力の素晴らしさやストーリー、演出を楽しむべきです。
そう言う意味では、このオズの魔法使も観客を引き込む演出や、パフォーマンスが盛り沢山の傑作に仕上がっている。
まずはキャラクターとストーリーの魅力。
不思議の国のアリス(Alice's Adventures in Wonderland)及び、鏡の国のアリス(Through the Looking-Glass)と似た様なテーマで、おそらくは"夢"の世界の冒険譚である事から、人間ではないキャラクターが多く、モンスターや魔女の出てくるファンタジーとなっている。
脳のない案山子、心のないブリキ、勇気のないライオンと言うユニークな設定の仲間と共に、願いをかなえてくれるオズの魔法使に会いに行くと言う物語。
一応、お子様も楽しく見られる健全な映画…なのですが、時代の違いなのか、どストレートな表現が含まれていたりする。
例えば、物語の設定上は2人の悪い魔女がいるのですが、1人は"いきなり死ぬ"のです。
死因は家の下敷きになったための圧死である。
直後の挿入歌でも「死んだ死んだ」を連発するので、いいのかコレ?とちょっと心配になる(笑)
その後も、ガチでドロシーを殺しに来るのは悪い魔女だけですが、"死亡"するのは結局悪い魔女のみと言う展開なんですよね。
ただね、やっつけたと言うソフトな表現ではなく、いくら悪者と言えどポップなノリで殺害するって言うのはかなり衝撃ですよ。
魔法の国がピンチだと言うのに、具体的な説明もなくよそ者のドロシーに丸投げの優しい(?)魔女など、いい加減で無責任なのに憎めないキャラクターの設定も面白い。
もう一つの魅力はカラー映像!
まあね、現代に於いてカラー映像なんて当然なのですが、当時は非常に珍しく、高価だったと言われるカラーフィルムを使用した映画になっています。
良くテレビなどでこの映画が紹介される際には、Somewhere over the rainbowのシーンが多いのでモノクロ映画と言うイメージが強いですが"現実世界"がモノクロで、旅をする世界はカラー映像となっている。
映画が始まってから約30分はモノクロ映像が続くので、そのまま最後まで行くと思い勝ちですが、竜巻に飛ばされて魔法の国に到着した後、ドロシーがドアを開けて外に出た瞬間からカラー映像に切り替わる演出があります。
これ、1939年当時に映画館で見ていたお客さん達はどう感じたのでしょうか?
かなり印象的な演出となった事は間違いないでしょう。
ちなみに、序盤の舞台となっている牧場やその周辺、竜巻の演出はもちろん、魔法の国も全てスタジオ内のセットだと言われているので、見ていると改めて凄いなと感じます。
3つ目は、やはり挿入歌やパフォーマンスの魅力!
Somewhere over the rainbowの知名度が高いので他の曲を忘れがちですが、楽しい魅力的な歌が沢山!
その中でも、オズの魔法使のテーマとも言える一番多く登場する曲が「Follow The Yellow Brick Road」で、私もお勧めの一曲です。
いよいよオズの魔法使に会うために出発する際にフルコーラスで流れる他、途中で出会う仲間たちと先へ進む際に登場します。
何と言っても「楽しい」曲なので、なんとなくでもイメージ通りの「ミュージカル」を見ている感が出て良い。
ただ歌うだけでなく、それぞれのキャラクターが個性的なステップを踏んで踊る姿もコミカルで見ていて楽しいですよ♪
各キャラクターのソロパフォーマンスも面白い!
それぞれのキャラクターが自己紹介を兼ねた歌を披露し、音楽その物は"if only had a ~(もし~があったなら)"で同じなのですが歌詞の内容やパフォーマンスが異なります。
特にお勧めなのは、ブリキのif only had a heartに合わせたダンスでしょうか。
マイケル・ジャクソンも真っ青の、元祖ゼロ・グラヴィティが拝めます(笑)
倒れそうで倒れない、何が凄いって右へ左へグイーン、グイーンと動きまくる姿と、慌てて支えようとするドロシーたちの表情を見て笑わずにはいられない(笑)
最後の展開は、偉大な大魔法使のオズがインチキだとか言うとんでもないオチが待っていたりと、終始笑わせてくれる映画で、子供っぽい映画と言うより、皮肉やジョークに魅力的な音楽やキャラクターと言ったエンターテイメントの王道と言った見方が出来ると思います。
冒頭でも言いましたが、大人になった今こそ、是非改めて見てほしい映画ですよ!
以下にはFollow The Yellow Brick Roadを紹介しておきます。
タイトル:The Wizerd of Oz(オズの魔法使)
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