2013年の暮れに、オランダのゴット・タレントと言うオーディション番組で、60%以上の視聴者票を獲得してぶっちぎりの優勝を果たした少女がいる。
Amira Willighagen(アミラ・ウィルハーフン)
当時9歳でステージへ上がり、審査員の前でジャコモ・プッチーニのオペラ「ジャンニスキッキ」よりO mio babbino caroを披露し、審査員及び会場の観客を圧倒。
その後、準決勝、決勝と進みAve MariaとNessun Dormaを歌い上げて優勝するのだが、驚くべき事に教会のコーラス隊には所属していたものの、オペラを歌いこなすための声楽など専門的なレッスンは受けておらず、YouTubeで見たマリア・カラスの歌を見て習得していると言う点は驚異である。
今やスーパースターとなった、アメリカのゴット・タレントで準優勝したジャッキー・エヴァンコも、当時9歳で出場しているが、この時点でデイヴィッド・フォスターの後ろ楯もあり、レッスンを受けての事である。
対して、素人同然のアミラが決勝まで進み、まさか優勝するなど誰も予想していなかったのではないだろうか。
私は、アンドレ・リュウの2014年のコンサートでアミラを知り、それ以降は彼女の大ファンであるが、あくまでも中立として意見させて頂くと、歌唱技術やレパートリーに於いてはジャッキーの方が上であるし、アンナ・ネトレプコやエリーナ・ガランチャなど、オペラ界のトップに君臨するディーヴァに比べれば、当然劣ると言わざるを得ない。
しかしだ、彼女には何とも言い難い魅力がある。
それは、ユニークな歌声だ。
かつて、ジャッキーが"まるで大人の様な声"で歌い、観客を驚かせたのもファルセット、所謂"裏声"で高音を出す歌唱技術があっての事だが、アミラの場合は他のオペラ歌手と異なり"実声"で歌うと言う特徴がある。
この時点では声楽を学んでいない事も理由なのかもしれないが、実声で高音を歌うので、極めて聞き取り易いと言う特徴がある。
角のない、柔らかなピュアヴォイスである。
まるで、汚れた心を洗われる様である(笑)
大袈裟だな!って思うかもしれないが、事実として歌唱力や歌唱技術そのものは飛び抜けて優れているわけではない(下手と言う意味ではない)のに、ヨーロッパを中心にアフリカ大陸に及ぶまで、西の大地全域を虜にしているその歌声と表現力が事実を物語っている。
尚、アメリカは本土にジャッキーが君臨しているので、アミラファンは比較的少数に留まるものの、逆に21世紀で最高の歌手とまで称されるジャッキーさえ、ヨーロッパに全く寄せ付けない。
ちなみに、互いのファンは対立しているが、本人同士の仲は良い。
そのアミラの、デビューアルバムがこちら。
誕生日の翌日、10歳となった2014年3月28日にリリースされた「Amira」だ。
ソニー・ミュージックとの契約でリリースされ、ヨーロッパとアメリカに限定しての販売となっているが、話題性からか日本も含め各国で輸入販売もされていたので、事実上、世界中で販売されていた。(売上チャートではEU・USのみ)
このアルバムは、リリース直後の最初の週にいきなりチャートで初回1位と言う凄まじいスタートを切り、僅か3週目にしてゴールドディスクを達成!
尚、この記録は2020年現在、オランダ史上最速、最年少歌手としての記録となっている。
また、このCDの売り上げや後の収益の半分は、南アフリカの貧困層の子供たちのために遊び場を提供すると言う目的のために寄付する事を発表し、僅か10歳にしてGelukskinders財団を設立する。
財団の活動は、公園の建設・整備の他、子供のコーラス隊の活動支援などを行っている。
オランダ人らしい筋金入りの倹約家で、家の車も高級車ではなくルノー・キャプチャー(推定220万円)と言う大衆車、家は借家、普段身に付けている服やアクセサリーもノーブランドの安価な物が多く、ボロボロになった携帯電話をいつまでも使うなど、ジャッキーとはまるで対照的である。
対して、寄付や慈善活動への支出は惜しみない。
そして何より、国王にまでタメ口と言われるオランダ人にしては珍しく「礼儀正しい」上、何故かは不明だが、和食器の"箸"を使えると言う謎の特技がある。(恐らく、デビュー間もない頃に行った、香港公演の期間中に使い方を覚えた物と思われる)
ちなみに…だが、過去の記事でアミラについては紹介しているので、詳細は過去の記事を読んでもらうとして、今日はファンでもなかなか知らないって人が多い小ネタを紹介しよう(笑)
コンサート会場の受付や、グッズ売り場で購入した際に袋に貼ってもらえるシールにもプリントされているアレ。
最近でこそ流石に持ち歩く事はなくなったが、亀が大好きなアミラが肌身離さず抱いていたぬいぐるみだが、実は「Schilpaddie(シルパディ)」と言う名前がある。
オランダ語で「Schildpad(シルパッド)」は亀と言う意味で、そこから名付けていると思われるが、実はこれ、普通にその辺で売っている市販のぬいぐるみである。
アミラグッズと思ってコンサート会場で探す人が多いそうだが、Bol.comやebay、Amazonなどで普通に売っているので、欲しい人はそちらを探すと良い(笑)
もう一つはこちら。
コレクター要素がある品になるのだが、お気付きだろうか?
収録内容は全く同じだが、ジャケットのアミラの位置が逆になっているバージョンが存在する。
バーコードも異なり、一応違う商品扱いとなっている。
中身のCDのレーベルやリーフレットにも帰属情報の記載が異なる程度の差異があるが、パッと見た感じはほとんど同じである。
勘の良い人は気付くと思うが、アミラが右にいる見慣れないジャケットの方は、帰属情報がフランス語で書かれている。
イギリスでレコーディングされ、世界共通のはずだが、何故かフランス版だけ異なるのだ。
でも、リーフレットの中身は英語で書かれているし、アミラ手書きのコメントがオランダ語で書かれている点は共通。
3rd.アルバムのWith All My Heartと異なり、店頭で市販されていたCDなので比較的数も多く、稀ではありますが中古も時々見掛けます。
コレクターの方は是非探してみてください。
CDに話を戻しますが、この1st.アルバムはジャッキーのデビューアルバムと異なり、ちゃんと熟成期間を経て10曲収録でリリースされている。
1トラックにO mio babbino caro、2トラックにはNella Fantasiaと言った有名な曲が収録されているし、3トラック目にはモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」よりVoi Che Sapeteなど。
Voi Che Sapeteは昔のキューピー3分クッキングのエンディングテーマとしても有名なアレなので、かなりの人が知っているはず。(現在のキューピー3分クッキングは玩具の兵隊のマーチで統一されている)
リリースを記念して開催された式典で、ゴット・タレントの審査員を務めたゴードンのイチオシは「Nella Fantasia」と「Nessun Dorma」だとコメントしている。
私の個人的なお勧めは、アンドリュー・ロイド=ウェバーの「Pie Jesu」と、アントニン・ドヴォルザークのオペラ「ルサルカ」より、第1幕のアリア「Song to the Moon(原題:Měsíčku na nebi hlubokém)」だ。
ところでアミラの歌うSong to the Moonですが、どう言うわけかL'IDEALと言う映画のサウンドトラックに収録されているのですが、映画で採用されたと言う事実を何故か公式は発表していない。
…と言うのも、この謎の映画について詳しく調べてみたところ、フランスでヒットしただけで、日本はおろかほとんどの国では上映もされていない映画の様です。
内容は、とてもここでは書けないほど過激なアダルト映画の様で、公式が発表しないのもなんとなく頷ける気がします(笑)
ちなみに、映画は見ていないので実際にどんな場面で流れるのか等、詳細については不明。
さて、ふと気が付く事があると思うが、Nella Fantasiaはイタリア語だし、Song to the Moonはチェコ語の歌詞である。
アミラは10歳当時、少しの英語が話せる程度で、基本言語はオランダ語とアフリカーンス語のバイリンガルであるが、オランダ語とアフリカーンス語はgやvの発音の違いや動詞の複数形の扱いが異なる程度で単語や文法などはほとんど共通である。
対して、イタリア語やチェコ語などの全く異なる言語で歌うのは、かなり難易度が高いはずであるが、見事な表現力で歌いこなしている。
是非CDで実際に聴いてみてほしい。
Amira Willighagen New Album 2014 - song to the moon
YouTubeのチャンネルより
アーティスト:Amira Willighagen
タイトル:Amira
収録曲リスト
1.O Mio Babbino Caro
2.Nella Fantasia
3.Voi Che Sapete
4.Pie Jesu
5.Caro Mio Ben
6.Song to the Moon
7.Ave Maria
8.Ombra Mai Fu
9.In Trutina
10.Nessun Dorma
Amira Willighagen(アミラ・ウィルハーフン)
当時9歳でステージへ上がり、審査員の前でジャコモ・プッチーニのオペラ「ジャンニスキッキ」よりO mio babbino caroを披露し、審査員及び会場の観客を圧倒。
その後、準決勝、決勝と進みAve MariaとNessun Dormaを歌い上げて優勝するのだが、驚くべき事に教会のコーラス隊には所属していたものの、オペラを歌いこなすための声楽など専門的なレッスンは受けておらず、YouTubeで見たマリア・カラスの歌を見て習得していると言う点は驚異である。
今やスーパースターとなった、アメリカのゴット・タレントで準優勝したジャッキー・エヴァンコも、当時9歳で出場しているが、この時点でデイヴィッド・フォスターの後ろ楯もあり、レッスンを受けての事である。
対して、素人同然のアミラが決勝まで進み、まさか優勝するなど誰も予想していなかったのではないだろうか。
私は、アンドレ・リュウの2014年のコンサートでアミラを知り、それ以降は彼女の大ファンであるが、あくまでも中立として意見させて頂くと、歌唱技術やレパートリーに於いてはジャッキーの方が上であるし、アンナ・ネトレプコやエリーナ・ガランチャなど、オペラ界のトップに君臨するディーヴァに比べれば、当然劣ると言わざるを得ない。
しかしだ、彼女には何とも言い難い魅力がある。
それは、ユニークな歌声だ。
かつて、ジャッキーが"まるで大人の様な声"で歌い、観客を驚かせたのもファルセット、所謂"裏声"で高音を出す歌唱技術があっての事だが、アミラの場合は他のオペラ歌手と異なり"実声"で歌うと言う特徴がある。
この時点では声楽を学んでいない事も理由なのかもしれないが、実声で高音を歌うので、極めて聞き取り易いと言う特徴がある。
角のない、柔らかなピュアヴォイスである。
まるで、汚れた心を洗われる様である(笑)
大袈裟だな!って思うかもしれないが、事実として歌唱力や歌唱技術そのものは飛び抜けて優れているわけではない(下手と言う意味ではない)のに、ヨーロッパを中心にアフリカ大陸に及ぶまで、西の大地全域を虜にしているその歌声と表現力が事実を物語っている。
尚、アメリカは本土にジャッキーが君臨しているので、アミラファンは比較的少数に留まるものの、逆に21世紀で最高の歌手とまで称されるジャッキーさえ、ヨーロッパに全く寄せ付けない。
ちなみに、互いのファンは対立しているが、本人同士の仲は良い。
そのアミラの、デビューアルバムがこちら。
誕生日の翌日、10歳となった2014年3月28日にリリースされた「Amira」だ。
ソニー・ミュージックとの契約でリリースされ、ヨーロッパとアメリカに限定しての販売となっているが、話題性からか日本も含め各国で輸入販売もされていたので、事実上、世界中で販売されていた。(売上チャートではEU・USのみ)
このアルバムは、リリース直後の最初の週にいきなりチャートで初回1位と言う凄まじいスタートを切り、僅か3週目にしてゴールドディスクを達成!
尚、この記録は2020年現在、オランダ史上最速、最年少歌手としての記録となっている。
また、このCDの売り上げや後の収益の半分は、南アフリカの貧困層の子供たちのために遊び場を提供すると言う目的のために寄付する事を発表し、僅か10歳にしてGelukskinders財団を設立する。
財団の活動は、公園の建設・整備の他、子供のコーラス隊の活動支援などを行っている。
オランダ人らしい筋金入りの倹約家で、家の車も高級車ではなくルノー・キャプチャー(推定220万円)と言う大衆車、家は借家、普段身に付けている服やアクセサリーもノーブランドの安価な物が多く、ボロボロになった携帯電話をいつまでも使うなど、ジャッキーとはまるで対照的である。
対して、寄付や慈善活動への支出は惜しみない。
そして何より、国王にまでタメ口と言われるオランダ人にしては珍しく「礼儀正しい」上、何故かは不明だが、和食器の"箸"を使えると言う謎の特技がある。(恐らく、デビュー間もない頃に行った、香港公演の期間中に使い方を覚えた物と思われる)
ちなみに…だが、過去の記事でアミラについては紹介しているので、詳細は過去の記事を読んでもらうとして、今日はファンでもなかなか知らないって人が多い小ネタを紹介しよう(笑)
コンサート会場の受付や、グッズ売り場で購入した際に袋に貼ってもらえるシールにもプリントされているアレ。
最近でこそ流石に持ち歩く事はなくなったが、亀が大好きなアミラが肌身離さず抱いていたぬいぐるみだが、実は「Schilpaddie(シルパディ)」と言う名前がある。
オランダ語で「Schildpad(シルパッド)」は亀と言う意味で、そこから名付けていると思われるが、実はこれ、普通にその辺で売っている市販のぬいぐるみである。
アミラグッズと思ってコンサート会場で探す人が多いそうだが、Bol.comやebay、Amazonなどで普通に売っているので、欲しい人はそちらを探すと良い(笑)
もう一つはこちら。
コレクター要素がある品になるのだが、お気付きだろうか?
収録内容は全く同じだが、ジャケットのアミラの位置が逆になっているバージョンが存在する。
バーコードも異なり、一応違う商品扱いとなっている。
中身のCDのレーベルやリーフレットにも帰属情報の記載が異なる程度の差異があるが、パッと見た感じはほとんど同じである。
勘の良い人は気付くと思うが、アミラが右にいる見慣れないジャケットの方は、帰属情報がフランス語で書かれている。
イギリスでレコーディングされ、世界共通のはずだが、何故かフランス版だけ異なるのだ。
でも、リーフレットの中身は英語で書かれているし、アミラ手書きのコメントがオランダ語で書かれている点は共通。
3rd.アルバムのWith All My Heartと異なり、店頭で市販されていたCDなので比較的数も多く、稀ではありますが中古も時々見掛けます。
コレクターの方は是非探してみてください。
CDに話を戻しますが、この1st.アルバムはジャッキーのデビューアルバムと異なり、ちゃんと熟成期間を経て10曲収録でリリースされている。
1トラックにO mio babbino caro、2トラックにはNella Fantasiaと言った有名な曲が収録されているし、3トラック目にはモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」よりVoi Che Sapeteなど。
Voi Che Sapeteは昔のキューピー3分クッキングのエンディングテーマとしても有名なアレなので、かなりの人が知っているはず。(現在のキューピー3分クッキングは玩具の兵隊のマーチで統一されている)
リリースを記念して開催された式典で、ゴット・タレントの審査員を務めたゴードンのイチオシは「Nella Fantasia」と「Nessun Dorma」だとコメントしている。
私の個人的なお勧めは、アンドリュー・ロイド=ウェバーの「Pie Jesu」と、アントニン・ドヴォルザークのオペラ「ルサルカ」より、第1幕のアリア「Song to the Moon(原題:Měsíčku na nebi hlubokém)」だ。
ところでアミラの歌うSong to the Moonですが、どう言うわけかL'IDEALと言う映画のサウンドトラックに収録されているのですが、映画で採用されたと言う事実を何故か公式は発表していない。
…と言うのも、この謎の映画について詳しく調べてみたところ、フランスでヒットしただけで、日本はおろかほとんどの国では上映もされていない映画の様です。
内容は、とてもここでは書けないほど過激なアダルト映画の様で、公式が発表しないのもなんとなく頷ける気がします(笑)
ちなみに、映画は見ていないので実際にどんな場面で流れるのか等、詳細については不明。
さて、ふと気が付く事があると思うが、Nella Fantasiaはイタリア語だし、Song to the Moonはチェコ語の歌詞である。
アミラは10歳当時、少しの英語が話せる程度で、基本言語はオランダ語とアフリカーンス語のバイリンガルであるが、オランダ語とアフリカーンス語はgやvの発音の違いや動詞の複数形の扱いが異なる程度で単語や文法などはほとんど共通である。
対して、イタリア語やチェコ語などの全く異なる言語で歌うのは、かなり難易度が高いはずであるが、見事な表現力で歌いこなしている。
是非CDで実際に聴いてみてほしい。
Amira Willighagen New Album 2014 - song to the moon
YouTubeのチャンネルより
アーティスト:Amira Willighagen
タイトル:Amira
収録曲リスト
1.O Mio Babbino Caro
2.Nella Fantasia
3.Voi Che Sapete
4.Pie Jesu
5.Caro Mio Ben
6.Song to the Moon
7.Ave Maria
8.Ombra Mai Fu
9.In Trutina
10.Nessun Dorma
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