本日紹介するのは、ドイツ出身のオペラ歌手、Diana Damurau(ディアナ・ダムラウ)です。
1995年に舞台デビューし、現在も活動中のベテラン歌手。
こちらが、2007年にリリースのArie di bravuraだ。
演じた役も非常に多いが、彼女の演じる役で特に有名なのはモーツァルトのオペラ「魔笛」の、夜の女王ではないだろうか。
このアルバムにも夜の女王のアリアが2曲収録されている。
魔笛の中で良く知られている夜の女王のアリアはどちらも難易度は高いが、特に聴き応えのあるのはDer Hölle Rache kocht in meinem Herzen(復讐の炎は地獄のように我が心に燃え)であろう。
仰々しいタイトルではあるが、非常に美しい曲である。(歌詞の意味は怖い)
タイトルや、どんな場面のアリアか知らなくても、絶対に曲を聴いた事があると言っても過言ではない程有名な曲だ。
このDer Hölle Racheを歌える人は、世界に数人しかいないとまで言われる超高難易度のアリアだが、実際のところそんな事はない(笑)
現実として、むしろ若手の新人ソプラノ歌手にガンガン歌わせて鍛えている印象の方が強い。
ただ、このアリアは非常に美しい旋律の中で、怒りや憎しみと言った相反する表現と迫力を要求される非常に難しい歌で、これを"歌いこなす"と言う意味では、納得のクオリティを出せる人物は確かに数える程しか知らない。
また、このアリアを紹介する上で良く語られるのが、コロラトゥーラと言う歌唱技術で、レッジェーロのソプラノが得意とする、コロコロと転がす様な歌い方…だなんて、分かり難い解説しかされていないでしょう?(笑)
そんな説明で理解出来るわけがないのだ。
実際、コロラトゥーラって何なの?って聞かれてしっかり説明できる人が説明しないと伝わらない。
正直、私も正確に説明出来る自信はないが、頑張ってお伝えしよう(笑)
コロラトゥーラとは、声質やそれを得意とする歌手を指す事もあるが、実は総称である。
速いテンポで用いる装飾音の事を言い、主にはトリルと言って、その名の通り震え音を指す場合が多いのだが、実際には色々と種類がある。
装飾音の中で最もポピュラーなものはビブラート辺りで、これであれば大体イメージは出来ると思います。
トリルそのものを説明すると、ビブラートとの違いを上手く伝えるのが難しいのですが、印象としては振れ幅の激しいビブラートの事と考えておおよそ差し支えない。
オペラのアリアでは多用されるので、オペラ歌手のビブラートは凄いなぁ!って感じているなら、大体トリルである(笑)
その他、トレモロと言った歌唱技術も違いが分かり難いのだが、どちらも同じ様に声を震わせる様に歌う。
厳密には、トレモロは一定の高さの声を途切れ途切れに連続発声するものであるが。
そしてコロラトゥーラと言うと、速いリズムの中に装飾音を取り入れる技術の事を指すので、同じトリルでも緩やかな波ではなく、短い節の中でジグザグと激しく音程が揺れる。
後半にリンクを張っておくので、何度か聴いて確認するとすぐに気が付くと思います。
主には夜の女王が「アァアァ アッハハハハハハハハー」と歌っている"あの部分"をコロラトゥーラと呼んでいる方が多い様だが、実際には全域に渡り速いリズムで様々な装飾音が多用されているので、全域で"色々なコロラトゥーラ"が盛り込まれていると思って良いのではないかな?と。
タングトリルと言うのかな?歌い出し直後に巻き舌でブルルッと声を震わせているアレも、所謂装飾音と言えるし、声を長く伸ばしている時のビブラートやトリルも十分速いリズムで声を震わせている。
おぉ、怒ってるぅ!って感じがするでしょう?
どれくらいのテンポがコロラトゥーラに該当する速さなのか、果たしてトリルのみを指すのか、そもそも的外れな事を言っているのか(笑)
私は音楽に関して専門的に学んでいるわけではないので、詳しい方がいたらコメントで教えて頂けると幸いです(^^;
結構気になっている人は多い様ですが、これでやや怪しい説明ながら、なんとなくコロラトゥーラが何なのかわかったでしょう?
速いテンポで用いる装飾音の総称と言うのは間違っていないはずなので、おおよそ近い説明にはなっていると思います。
Queen of the Nightを上手に歌える歌手でも、いまいち迫力がない…と感じるのは、この装飾音をきちんと熟せてないからである。
些細な違いの様に思えるかもしれないが、この差が大きいのだ。
クラシックに於いて、解釈、表現と言うのは非常に重要な事で、楽譜に記載されているものには忠実に再現しなくては、作曲者が表現したいその曲の真の姿を知る事は出来ない。
歌のコンサートならまだしも、オペラの舞台となると尚更である。
夜の女王が、優しく囀る様に歌っていたのでは、パミーナ(夜の女王の娘)に詰め寄り復讐を誓わせるシーンは台無しなのだから。
是非、このアルバムで現役最恐の夜の女王を聴いてみて欲しい。
ちなみに、この曲自体は以前、フローレンス・フォスター・ジェンキンスの記事でも紹介しているので、もし良かったらディアナ・ダムラウと聴き比べてみて欲しい。
到底、同じ曲とは思えないはずだ(笑)
flauto magico - Regina della Notte - Diana Damrau
YouTubeのチャンネルより
アーティスト:Diana Damurau
タイトル:Arie di Bravura
収録曲リスト
1.Cublai, gran Khan dei Tartari: Fra i barbari sospetti
2.Il Natal D'Apollo: Ove Son? Qual'aure Lo Spiro
3.L'Europa Riconosciuta: Numi, Respiro.Ah, Lo Sento
4.Il Natal D'Apollo: Ombra Dolente
5.Die Zauberflöte: O Zittre Nicht
6.Die Zauberflöte: Der Hölle Rache
7.Cublai, Gran Kham Dei Tartari: D'un Insultante Orgoglio
8.Lucio Silla: In Un Instante.Parto, M'affretto
9.Der Rauchfangkehrer: Basta, Vincesti.Ah Non Lasciarmi
10.Semiramide: Sento L'amica Speme
11.Konzertarie: Basta, Vincesti.Ah Non Lasciarmi K.468
12.L'Europa Riconosciuta: Quando Più Irato Freme
13.La Finta Scema: Se Spiegar Potessi Appiento
1995年に舞台デビューし、現在も活動中のベテラン歌手。
こちらが、2007年にリリースのArie di bravuraだ。
演じた役も非常に多いが、彼女の演じる役で特に有名なのはモーツァルトのオペラ「魔笛」の、夜の女王ではないだろうか。
このアルバムにも夜の女王のアリアが2曲収録されている。
魔笛の中で良く知られている夜の女王のアリアはどちらも難易度は高いが、特に聴き応えのあるのはDer Hölle Rache kocht in meinem Herzen(復讐の炎は地獄のように我が心に燃え)であろう。
仰々しいタイトルではあるが、非常に美しい曲である。(歌詞の意味は怖い)
タイトルや、どんな場面のアリアか知らなくても、絶対に曲を聴いた事があると言っても過言ではない程有名な曲だ。
このDer Hölle Racheを歌える人は、世界に数人しかいないとまで言われる超高難易度のアリアだが、実際のところそんな事はない(笑)
現実として、むしろ若手の新人ソプラノ歌手にガンガン歌わせて鍛えている印象の方が強い。
ただ、このアリアは非常に美しい旋律の中で、怒りや憎しみと言った相反する表現と迫力を要求される非常に難しい歌で、これを"歌いこなす"と言う意味では、納得のクオリティを出せる人物は確かに数える程しか知らない。
また、このアリアを紹介する上で良く語られるのが、コロラトゥーラと言う歌唱技術で、レッジェーロのソプラノが得意とする、コロコロと転がす様な歌い方…だなんて、分かり難い解説しかされていないでしょう?(笑)
そんな説明で理解出来るわけがないのだ。
実際、コロラトゥーラって何なの?って聞かれてしっかり説明できる人が説明しないと伝わらない。
正直、私も正確に説明出来る自信はないが、頑張ってお伝えしよう(笑)
コロラトゥーラとは、声質やそれを得意とする歌手を指す事もあるが、実は総称である。
速いテンポで用いる装飾音の事を言い、主にはトリルと言って、その名の通り震え音を指す場合が多いのだが、実際には色々と種類がある。
装飾音の中で最もポピュラーなものはビブラート辺りで、これであれば大体イメージは出来ると思います。
トリルそのものを説明すると、ビブラートとの違いを上手く伝えるのが難しいのですが、印象としては振れ幅の激しいビブラートの事と考えておおよそ差し支えない。
オペラのアリアでは多用されるので、オペラ歌手のビブラートは凄いなぁ!って感じているなら、大体トリルである(笑)
その他、トレモロと言った歌唱技術も違いが分かり難いのだが、どちらも同じ様に声を震わせる様に歌う。
厳密には、トレモロは一定の高さの声を途切れ途切れに連続発声するものであるが。
そしてコロラトゥーラと言うと、速いリズムの中に装飾音を取り入れる技術の事を指すので、同じトリルでも緩やかな波ではなく、短い節の中でジグザグと激しく音程が揺れる。
後半にリンクを張っておくので、何度か聴いて確認するとすぐに気が付くと思います。
主には夜の女王が「アァアァ アッハハハハハハハハー」と歌っている"あの部分"をコロラトゥーラと呼んでいる方が多い様だが、実際には全域に渡り速いリズムで様々な装飾音が多用されているので、全域で"色々なコロラトゥーラ"が盛り込まれていると思って良いのではないかな?と。
タングトリルと言うのかな?歌い出し直後に巻き舌でブルルッと声を震わせているアレも、所謂装飾音と言えるし、声を長く伸ばしている時のビブラートやトリルも十分速いリズムで声を震わせている。
おぉ、怒ってるぅ!って感じがするでしょう?
どれくらいのテンポがコロラトゥーラに該当する速さなのか、果たしてトリルのみを指すのか、そもそも的外れな事を言っているのか(笑)
私は音楽に関して専門的に学んでいるわけではないので、詳しい方がいたらコメントで教えて頂けると幸いです(^^;
結構気になっている人は多い様ですが、これでやや怪しい説明ながら、なんとなくコロラトゥーラが何なのかわかったでしょう?
速いテンポで用いる装飾音の総称と言うのは間違っていないはずなので、おおよそ近い説明にはなっていると思います。
Queen of the Nightを上手に歌える歌手でも、いまいち迫力がない…と感じるのは、この装飾音をきちんと熟せてないからである。
些細な違いの様に思えるかもしれないが、この差が大きいのだ。
クラシックに於いて、解釈、表現と言うのは非常に重要な事で、楽譜に記載されているものには忠実に再現しなくては、作曲者が表現したいその曲の真の姿を知る事は出来ない。
歌のコンサートならまだしも、オペラの舞台となると尚更である。
夜の女王が、優しく囀る様に歌っていたのでは、パミーナ(夜の女王の娘)に詰め寄り復讐を誓わせるシーンは台無しなのだから。
是非、このアルバムで現役最恐の夜の女王を聴いてみて欲しい。
ちなみに、この曲自体は以前、フローレンス・フォスター・ジェンキンスの記事でも紹介しているので、もし良かったらディアナ・ダムラウと聴き比べてみて欲しい。
到底、同じ曲とは思えないはずだ(笑)
flauto magico - Regina della Notte - Diana Damrau
YouTubeのチャンネルより
アーティスト:Diana Damurau
タイトル:Arie di Bravura
収録曲リスト
1.Cublai, gran Khan dei Tartari: Fra i barbari sospetti
2.Il Natal D'Apollo: Ove Son? Qual'aure Lo Spiro
3.L'Europa Riconosciuta: Numi, Respiro.Ah, Lo Sento
4.Il Natal D'Apollo: Ombra Dolente
5.Die Zauberflöte: O Zittre Nicht
6.Die Zauberflöte: Der Hölle Rache
7.Cublai, Gran Kham Dei Tartari: D'un Insultante Orgoglio
8.Lucio Silla: In Un Instante.Parto, M'affretto
9.Der Rauchfangkehrer: Basta, Vincesti.Ah Non Lasciarmi
10.Semiramide: Sento L'amica Speme
11.Konzertarie: Basta, Vincesti.Ah Non Lasciarmi K.468
12.L'Europa Riconosciuta: Quando Più Irato Freme
13.La Finta Scema: Se Spiegar Potessi Appiento
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