音楽家なら誰もが、生涯に一度はそのステージで演奏したいと願い、その夢を追い掛けるだろう。
数あるコンサートホールの中でも特に有名な、ニューヨークのカーネギーホール。
カーネギーホールへ行くには~なんてジョークを交えた案内が有名だが、事実として、カーネギーホールのステージに上がるには、生涯を掛けて技術を磨かなければならない。
格式の高いコンサートホールとは言え、所詮はコンサートホール。
金さえ払えば演奏出来るだろ?って意見もあり、ごもっともなのだが、そのコンサートが世間に認められるかどうかは別の話だ。
カーネギーホールで演奏ともなれば、メディアは駆け付け、その様子を厳しく評価し、記事にする。
評判が悪ければ、文字通り「終わり」だ。
音楽家として認められ、続けて行こうと思えば、このカーネギーホールのステージで失態を晒す事は絶対に許されないのだ。
万が一失敗したら、音楽家としての人生を断たれると思って良い。
事実、過去にある地方の音楽大会の優勝者に、カーネギーホールでの演奏権を与えていたと言う話があるが、このステージに立った優勝者は誰一人として、その後の音楽業界で成功した者はいない。
また、コンサート自体は大成功を収めているが、あのフローレンス・フォスター・ジェンキンスの伴奏を務めたコズメ・マクムーンも、同ホールでの演奏を機に音楽家の道を諦めている。
このステージで"音楽家"として演奏するためには、完成の域に達していないと無理だと言うわけである。
だからホールデビューは慎重に検討されるし、絶対に大丈夫だと確信が持てるまで実行されない。
故に、人生を掛けて腕を磨かなければならないのである。
通常は、だ。通常ではない例外も存在する。
2019年12月12日にカーネギーホールにデビューする、イギリス出身の少女がいる。
名前はAlma Elizabeth Deutscher(アルマ・エリザベス・デューツシャー)
既に2013年時点で1st.アルバム「The Music Of Alma Deutscher」をリリースしているのだが、この子の場合は演奏技術が云々と言うレベルの話ではない。
1st.アルバムの内容自体は一見特筆すべき点もなく、アルマ本人のピアノやヴァイオリン演奏で収録してある、何の変哲もないクラシックアルバムとなっている。
しかし、アルマが神童と呼ばれる理由は別にある。
この若さにして、非常に優れた"作曲家"である。
僅か2歳でピアノを習得し、3歳でヴァイオリンの演奏を始める。
そしてその後は作詞・作曲を始め、僅か6歳の頃に自作の短編オペラ「The Sweeper of Dreams」を完成させ、翌年には二作目となる長編オペラ「Cinderella」を発表している。
実際にそのオペラはステージで披露され、DVDとしても発売されている。
子供が作った学芸会レベルの物ではなく、ストーリーや音楽、登場人物の台詞まで、全てアルマの作品であり、プロも認める完璧な「オペラ」である。
アルマ曰く、日常の音や会話のみならず、風景や色、感情も全て"メロディー"として"聴く"事ができると言うのだ。
これは紛れもなく、クラシック・ミュージックに於ける「物語」「自然」「感情」と言った物を、音楽と言う作品にして「解釈」し「表現」すると言う"ソレ"その物である。
また、8歳の頃にデビュー間もない頃のアミラ・ウィルハーフン(当時9歳)とも共同コンサートを開催しており、大変評判も良かったのだが、驚くべき事にこのコンサートの中で、歌うアミラに合わせて同等のソプラノでデュエットすると言う技を披露している。
リハーサルで打ち合わせ済みだったのか、アミラが驚く様子はなかったが、観客は声楽を学んでいないアルマが、アミラの歌に追従すると言う予想外の事態に困惑する場面も見られた。
ヨーロッパで注目を浴びてから、その豊かな音楽の才能から、同じく幼い頃に神童と呼ばれ、18世紀のウィーンを拠点にヨーロッパを震撼させたモーツァルトの生まれ変わりだと絶賛して比較するメディアも現れたが、アルマ本人はテレビ局の取材の中で、モーツァルトと比較される事に明らかな不快感を示している。
一見、名誉な事の様にも思えるが、天才にしかわからぬ"比べられる"と言う事への悩みがあるのだろう。
目前に迫ったカーネギーホールデビューが、今後のキャリアにどう言った結果をもたらすかまだわからないが、世界中が注目するステージに期待している。
Alma Deutscher, Violin concerto in G minor (2017)
YouTube - Alma Deutscher公式チャンネルより
アーティスト:Alma Deutscher
タイトル:The Music Of Alma Deutscher
収録曲リスト
1.Rondino in E-Flat Major for Violin, Viola and Piano
2-4.Piano Sonata in E-Flat Major
I.Moderato
II.Fantasia
III.Rondo
5.Andante for Violin and Piano in G Major
6.Sonata for Viola and piano in C Minor
I.Allegro
数あるコンサートホールの中でも特に有名な、ニューヨークのカーネギーホール。
カーネギーホールへ行くには~なんてジョークを交えた案内が有名だが、事実として、カーネギーホールのステージに上がるには、生涯を掛けて技術を磨かなければならない。
格式の高いコンサートホールとは言え、所詮はコンサートホール。
金さえ払えば演奏出来るだろ?って意見もあり、ごもっともなのだが、そのコンサートが世間に認められるかどうかは別の話だ。
カーネギーホールで演奏ともなれば、メディアは駆け付け、その様子を厳しく評価し、記事にする。
評判が悪ければ、文字通り「終わり」だ。
音楽家として認められ、続けて行こうと思えば、このカーネギーホールのステージで失態を晒す事は絶対に許されないのだ。
万が一失敗したら、音楽家としての人生を断たれると思って良い。
事実、過去にある地方の音楽大会の優勝者に、カーネギーホールでの演奏権を与えていたと言う話があるが、このステージに立った優勝者は誰一人として、その後の音楽業界で成功した者はいない。
また、コンサート自体は大成功を収めているが、あのフローレンス・フォスター・ジェンキンスの伴奏を務めたコズメ・マクムーンも、同ホールでの演奏を機に音楽家の道を諦めている。
このステージで"音楽家"として演奏するためには、完成の域に達していないと無理だと言うわけである。
だからホールデビューは慎重に検討されるし、絶対に大丈夫だと確信が持てるまで実行されない。
故に、人生を掛けて腕を磨かなければならないのである。
通常は、だ。通常ではない例外も存在する。
2019年12月12日にカーネギーホールにデビューする、イギリス出身の少女がいる。
名前はAlma Elizabeth Deutscher(アルマ・エリザベス・デューツシャー)
既に2013年時点で1st.アルバム「The Music Of Alma Deutscher」をリリースしているのだが、この子の場合は演奏技術が云々と言うレベルの話ではない。
1st.アルバムの内容自体は一見特筆すべき点もなく、アルマ本人のピアノやヴァイオリン演奏で収録してある、何の変哲もないクラシックアルバムとなっている。
しかし、アルマが神童と呼ばれる理由は別にある。
この若さにして、非常に優れた"作曲家"である。
僅か2歳でピアノを習得し、3歳でヴァイオリンの演奏を始める。
そしてその後は作詞・作曲を始め、僅か6歳の頃に自作の短編オペラ「The Sweeper of Dreams」を完成させ、翌年には二作目となる長編オペラ「Cinderella」を発表している。
実際にそのオペラはステージで披露され、DVDとしても発売されている。
子供が作った学芸会レベルの物ではなく、ストーリーや音楽、登場人物の台詞まで、全てアルマの作品であり、プロも認める完璧な「オペラ」である。
アルマ曰く、日常の音や会話のみならず、風景や色、感情も全て"メロディー"として"聴く"事ができると言うのだ。
これは紛れもなく、クラシック・ミュージックに於ける「物語」「自然」「感情」と言った物を、音楽と言う作品にして「解釈」し「表現」すると言う"ソレ"その物である。
また、8歳の頃にデビュー間もない頃のアミラ・ウィルハーフン(当時9歳)とも共同コンサートを開催しており、大変評判も良かったのだが、驚くべき事にこのコンサートの中で、歌うアミラに合わせて同等のソプラノでデュエットすると言う技を披露している。
リハーサルで打ち合わせ済みだったのか、アミラが驚く様子はなかったが、観客は声楽を学んでいないアルマが、アミラの歌に追従すると言う予想外の事態に困惑する場面も見られた。
ヨーロッパで注目を浴びてから、その豊かな音楽の才能から、同じく幼い頃に神童と呼ばれ、18世紀のウィーンを拠点にヨーロッパを震撼させたモーツァルトの生まれ変わりだと絶賛して比較するメディアも現れたが、アルマ本人はテレビ局の取材の中で、モーツァルトと比較される事に明らかな不快感を示している。
一見、名誉な事の様にも思えるが、天才にしかわからぬ"比べられる"と言う事への悩みがあるのだろう。
目前に迫ったカーネギーホールデビューが、今後のキャリアにどう言った結果をもたらすかまだわからないが、世界中が注目するステージに期待している。
Alma Deutscher, Violin concerto in G minor (2017)
YouTube - Alma Deutscher公式チャンネルより
アーティスト:Alma Deutscher
タイトル:The Music Of Alma Deutscher
収録曲リスト
1.Rondino in E-Flat Major for Violin, Viola and Piano
2-4.Piano Sonata in E-Flat Major
I.Moderato
II.Fantasia
III.Rondo
5.Andante for Violin and Piano in G Major
6.Sonata for Viola and piano in C Minor
I.Allegro
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